太陽光発電
投稿日:2025.04.08
2006~2012:シャープ(株)ソーラーシステム事業本部にて、住宅用ソーラーシステム
2013~2017:(株)サニックス エネルギー開発本部にて、産業用ソーラーシステム
10年間、太陽光発電の業界に関わってきました。
1959年、シャープ創業者、早川徳次の言葉
「無限にある太陽光で電気を起こすことを考えれば、人類にどれだけ寄与するかは、はかりしれない」
ソーラーシステムとは、太陽電池を使った発電システムです。
太陽電池モジュール(パネル)、取付架台、パワーコンディショナーから構成されます。
シャープは全てを製造しています。(当初、標準品が無かったので全部自前で揃える必要があった)
太陽電池には御三家と呼ばれるメーカーがあります。シャープ、三洋、京セラです。
太陽電池が普及していない頃から、研究を続けているメーカーです。三洋は現在、パナソニックになっています。
太陽電池は純粋なシリコンで出来ており、そこに微量元素を入れるため、電気炉で900度に熱します。(拡散行程と言います)
これが陶器(セラミックス)を作る工程と似ています。京セラが参入している理由です。
半導体と基本的な作り方は同じで、太陽電池の場合は微細加工がないのでシンプルです。(高度なクリーンルームも不要)
全自動で高密閉な生産ラインが必要で、1つの製造ラインを作るのに100億円の初期投資が掛かります。
シャープも自社で製造設備を作っていましたが、普及してくると半導体製造装置メーカーが参入してきました。
現在、太陽電池の殆どは中国生産ですが、中国では国が製造装置や工場の費用を出しています。
日本やドイツから最新の太陽電池製造装置を買って、次々と工場を建てました。
様々な業種から太陽電池に参入した結果、値段の叩き合いになって、倒産するメーカーも出ました。(如何にも中国らしい)
その結果、日本メーカーもわざわざ自社生産する意義もなくなり、中国から完成品を購入するようになりました。
シャープは今でも堺工場でブラックソーラーと呼ばれる高効率太陽電池パネル、大和郡山工場で宇宙用太陽電池を製造しています。
宇宙用は極めて特殊でJAXA(三菱電機経由)から滅多に注文が来ませんので、他のメーカーも参入は考えません。
ブラックソーラーは特殊な構造で、特許もありますので、真似をするメーカーもありません。
しかし、中国製に比べれば発電効率は2割増ですが、価格が2倍ですから、住宅用の限られたお客様だけが相手です。
住宅の屋根は面積が限られており、高効率の太陽電池パネルが求められています。
例えば、東京23区※の一戸建ては、平均2.4kW相当の太陽電池パネルを設置する面積しかありません。
いわゆる狭小住宅(敷地が10~15坪)です。新築の場合、そこにソーラーの設置が義務付けられています。
こういうお客様は、ブラックソーラーが向いています。(2.9kWならそこそこ役に立つ)
※面積・人口ともに大阪市の3倍
つづく
営業本部 エンジニアリンググループ
山本 一詞