電池の話2
投稿日:2025.04.23
日本の自動車メーカーが相次いで、電池の社内生産を発表しています。自社の自動車工場の近くで生産します。
国内で製造するのは、全固体リチウムイオン電池です。
全固体は燃えないし、10分程度の急速充電ができるようになります。
電気自動車(EV)とエンジン車では、随分と構造が違います。エンジンルームを開けるとその違いが歴然とします。
例えば日産リーフのエンジンルームは、スカスカです。バッテリーは車体の底に敷き詰められていますので、見えません。
日産リーフの価格は、同サイズのエンジン車にくらべれば2倍近くします。
この価格差は、ほぼバッテリーの値段ではないかと思います。バッテリーは全て外部メーカーから調達しています。
現在、EVの台数は極僅かですが、これが将来全部EVに置き換わるなら、自動車メーカーに取っては一大事になります。
おそらく、自動車メーカーが購入する部品代の半分以上に電池が占めるようになるからです。
私は、シャープで家庭用の蓄電池の開発に携わっていましたが、原価の7割が電池の購入価格で、
いったい誰の為に商売をしているのだろうか?という疑問を持っていました。
自動車メーカーが、自社で電池を生産するインパクトは、BYDの電気自動車の価格から想像できます。
日本ではあまり知られていませんが、BYDは中国の老舗自動車メーカーでトラックやバスも製造しています。
中国では随分前からEVバスが走っています。
一方、BYDは太陽電池やリチウムイオン電池のメーカーでもあります。
BYDの上海工場を訪問したことがありますが、しっかりしたメーカーです。
以前、日産の研究所を訪問した時、
・モーター
・インバーター
・電池
という3つの部品しか研究していないというお話でした。もう電機メーカーですね。
不思議な話ですが、家電メーカーの技術が欲しいと言われていました。
・家庭用エアコンの技術:自動車より遥かにエネルギー効率が良い。(特にヒートポンプ=暖房)
・冷蔵庫用の真空断熱材の技術:自動車は重くなるので、殆ど断熱していない。
ホンファイがシャープを買収し、電気自動車の生産を計画するのも、良く分かりますね。
おわり
営業本部 エンジニアリンググループ
山本 一詞