Mマート
投稿日:2026.01.16
とある小さな食品会社の社長が、「当社は営業が2名しか居らず、募集しても中々応募がない。」と嘆いておられた。ならばECサイトはどうかと少し調べてみて、驚いた。
消費者相手のECサイトは沢山ありますが、飲食店や給食会社などプロ相手の卸向け食品ECサイトは殆どありません。食品商社がサイドビジネスとしてECサイトも運営していますが、商社は取引条件が厳しく、中々零細企業では難しいそうです。
そのような中、業務用食品の卸ECサイトとして、異彩を放つのがMマートです。簡単に言えば、楽天と同じくマーケットプレイス(場所貸し)です。毎月の出店料と売上高に応じた手数料を支払えば、自由に商品を並べて販売できます。買い物籠システムが用意されており、お客様(バイヤー)は自由に商品を選べます。バイヤーは登録制で登録料は無料です。一般の消費者は購入は勿論、自由に覗くこともできません。
Mマートのバイヤー数は23万社、出展社は3千社という規模です。他にも無いか調べてみましたが、規模が2桁小さい会社が数社あるだけです。いわゆる一強の状態です。Mマートは東証スタンダードですが、社員はたったの66名、売上高は分かりませんが、営業利益が13億円、経常利益が5億円です。
これだけなら、別に驚きもしないでしょう。
このMマートの村橋社長の話がYouTubeなどで紹介されています。村橋さんは御年87歳!63歳で起業!81歳で東証上場を果たしました。すごいですね。
起業のきっかけは、自分自身が50年間飲食店を経営してきて、(計算が合わないので今もやっているのでしょう)食材の仕入れに窮してきたからです。自分の欲しい食材が中々見つからない、卸を見つけても一元さんお断り、漸く仕入れができても、暫く立てば品質を落としてくる。注意すればその時だけは良くなる。という体験からです。
1990年代後半にインターネットが普及し始め、これからの食材仕入れはこれだと直感したそうです。息子に買い物籠システムを見せて、これと同じ物を作ってくれと言ったが出来ず、IT事業者に依頼して2000年にMマートを立ち上げた。
当時は卸で価格をオープンにしている店は無く、取引状況に応じて価格が決まる世界で、「価格を表示するなんてとんでもない」と食品メーカーから嫌われたそうです。しかし、バイヤー側は大歓迎、どんどん商品が売れて行く姿を見て、徐々に出展社が増えて行ったそうです。
商品が増えて行くと、タイムリーに商品入れ替えや表示方法を変えたいと言う要望がでてきて、自社でのシステム開発に踏み切った。その甲斐もあり、対応時間とコストが劇的に下がった。多くの商社ECサイトはシステム開発費が重荷になり、今ではMマートに出店する食品商社もあるそうです。
村橋社長は、コンビニがどこも流行っている理由を「店主が、売れる商品だけ残し、売れない商品はさっさと引き上げる。」と説明し、「Mマートで売れる秘訣は、売れ行きを見てどんどん商品を入れ替えることだ」と言います。商品入れ替えも簡単にできるシステムになっているそうです。
Mマートは配送や代金回収はしません。代金は現金決済、代引きの場合は出店社が手数料負担、配送費はバイヤー持ちです。この意味は、バイヤーが卸店に行って買い物をするのと同じ、遠い店なら交通費が掛かる。だからバイヤー側が負担すべきと言う理屈です。
商品クレームは、即座に出店社に連絡が行くそうで、意外にもクレームが放置されるケースは少なく、出店社がバイヤーに直接対応を取るそうです。出店社の評判が良くなると、そこにバイヤーが集まるようです。
面白いのは、毎月の出店料を払ってさえいれば、出店社に場外取引を認めていることです。要はバイヤーを掴んだら、あとはMマートを通さなくとも直接取引をすれば良い。手数料の2%を支払う必要がないし、後は価格をお客様と自由に交渉したら良いという考え方です。
この方法が、出店社にも、バイヤーにも評価され、双方が増え続けています。バイヤー側からの視点で立ち上げたECサイトは大成功です。良く、商品企画の王道は「売れる商品は消費者に聞け」と言いますが、正にその通りですね。
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営業本部 エンジニアリンググループ
山本 一詞
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