2025.07.22

熱中症かも?症状と応急処置の方法

 地球温暖化に伴い、夏の暑さが年々厳しくなり、熱中症になる人は増える一方です。そんな中、近年の猛暑による熱中症死亡災害の増加を受け、2025年6月1日から職場における熱中症対策が義務化されました。これにより、事業者には体制整備、手順作成、関係者への周知が義務付けられています。
 熱中症は、重症化すると障害が残ったり、死に至ることもある危険な症状です。そのため、初期の段階で適切な応急処置を行うことが非常に重要です。自身でしっかり予防をするとともに、万が一身近で熱中症と見られる症状の人がいた場合に、すぐに応急処置ができるように正しい知識や手順を知っておくことが重要です。以下より、熱中症の症状や応急処置の手順について解説いたします。

熱中症とは

 熱中症とは、高温多湿な環境下で、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもって様々な症状を引き起こす状態のことです。屋外だけでなく、室内でも発症し、重症化すると命に関わることもあります。体温の上昇と調整機能のバランスが崩れると、どんどん身体に熱が溜まってしまいます。どのようなことが要因となり熱中症を引き起こすのでしょうか?

■熱中症を引き起こす3つのリスク要因

 熱中症を引き起こす条件は、「環境」「からだ」「行動」によるものが考えられます。

「環境」の要因は、気温が高い、湿度が高い、風が弱いなどがあります。


「からだ」の要因は、激しい労働や運動によって体内に著しい熱が生じたり、暑い環境に体が十分に対応できないことなどがあります。

「行動」の要因は、長時間の屋外作業や、適切な休憩、水分補給を怠ることなどがあります。
その結果、熱中症を引き起こす可能性があります。

熱中症の症状

 熱中症は、症状の重症度によって、次の3つの段階に分けられます。軽症の場合は現場での応急処置で対応できますが、中等症以上になると病院への搬送が必要となり、重症の場合はただちに入院して集中治療の必要性があります。

軽度の症状(重症度Ⅰ)

めまい、立ちくらみ、筋肉痛、筋肉の痙攣(こむら返り)、大量の発汗

・めまいや立ちくらみ、顔がほてるなどの症状が出たら、熱中症のサインです。
 一時的に意識が遠のいたり、腹痛などの症状が出る場合もあります。
・「こむら返り」と呼ばれる、手足の筋肉がつるなどの症状が出る場合があります。
 筋肉がピクピクとけいれんしたり、硬くなったりこともあります。
・拭いても拭いても汗がでる、もしくは全く汗をかいていないなど、汗のかきかたに
 異常がある場合には、熱中症にかかっている危険性があります。

中度の症状(重症度Ⅱ)

頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感

・体がぐったりし、力が入らない。
・熱による体調不良が原因で、吐き気やおう吐、頭痛などを伴う場合もあります。

重度の症状(重症度Ⅲ)

意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温

・声をかけても反応しなかったり、おかしな返答をしたりする。または、体がガクガクとひきつけを
 起こす、まっすぐ歩けないなどの異常があるときは、重度の熱中症にかかっています。
・自分で上手に水分補給ができない場合も大変危険な状態です。
 ただちに救急車を呼び、病院で集中治療を受ける必要があります。
・体温が高くて皮ふを触るととても熱い、皮ふが赤く乾いているなどの症状も熱中症のサインです。
 体温が40℃を超える場合もあります。

応急処置の準備

●必要なものを確認する(冷却材、水分補給など)

・経口補水液、スポーツドリンク
・冷たいタオル
・保冷剤、氷枕
・扇風機、うちわ

●周囲の環境を整える(直射日光を避ける)

風通しのよい日陰やエアコン(最強で)の利いた室内などの涼しい場所へ移動させましょう。


応急処置の手順

①症状を確認する
 相手の状態を観察する
 症状を聞き出す
②涼しい場所へ移動させる
 日陰やエアコンの効いた室内へ移動
③体温を下げる
 服をゆるめる
 水をかけるまたは冷却シートを使用
④水分・塩分を与える
 体調が良ければ少しずつ水分を摂取させる
⑤救急車を呼ぶ
 重度の症状が見られた場合は、直ちに119番通報

救急車を待っている間にも、現場で応急処置をすることで症状の悪化を防ぐことができます。
熱中症は命に関わる危険な症状です。甘く判断せず、できる限りの応急処置を行いましょう。

職場における予防策

 職場での対応としては、熱中症を防ぐための職場環境の整備と啓発活動が重要です。熱中症の恐れがある労働者を早期に見つけ、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処する必要があります。これにより、熱中症の重篤化を防止することができます。「見つける」⇒「判断する」⇒「対処する」を基本的な考え方とし、現場の実態に即した具体的な対応方法を決めて周知しておく必要があります。
 令和7年6月1日から始まった熱中症対策義務化により、以下1.2.の「体制整備」、「手順作成」、「関係労働者への周知」が事業者に罰則付きで義務付けられています。

1. 熱中症のおそれがある労働者を早期に発見できるよう、「熱中症の自覚症状がある労働者」や「熱中症のおそれがある労働者を見つけた者」がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係労働者に対して周知すること。

2. 熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に迅速かつ的確な判断が可能となるよう、①事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等②作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等熱中症による重篤化を防止するために必要な措置の実施手順を事業場ごとにあらかじめ作成し、関係労働者に対して周知すること。

《厚生労働省 参考リンク》

職場における熱中症対策の強化について(PDFファイル)

熱中症予防のための情報・資料サイト

まとめ

 熱中症は、暑さを避けてこまめに水分を補給し、無理をしないで適度に休憩をとるなど、日頃からの予防や対策で防ぐことができます。ただ、日頃から気を付けていても、ついつい夢中で運動や作業をすることで熱中症になることがあります。熱中症は、早期発見と迅速な対応により重症化させないことが大切です。自分自身や周りの人が熱中症になった時に、すぐに適切な対応ができるよう、熱中症の知識と対処法を身に付けましょう。

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