2025.10.30
荷役作業における安全対策のすすめ
製造業における荷役作業は、製品の入出荷や現場内の材料移動など、日々の生産活動に欠かせない重要な作業です。しかし、その一方で重量物の取り扱いやフォークリフトの運転など、事故や怪我のリスクが高い作業でもあります。昨今の労働安全衛生規則の改正により、こうした荷役作業の安全対策が一層厳しく求められるようになりました。
本コラムでは、製造業における荷役作業の主なリスクと、最新の法改正内容、さらに現場で実践すべき安全対策についてわかりやすく解説いたします。安全で効率的な作業環境づくりのヒントとして、ぜひご一読ください。
荷役作業とは?
荷役作業とは、トラックなどへの荷物の積み込み・積み降ろし、運搬、仕分け、保管、梱包といった、物流工程における一連の荷物の取り扱い作業全般を指します。フォークリフトやクレーンなどの機械を使用する「機械荷役」と、手作業や台車など、人力で行う「人力荷役」があります。
荷役作業における安全課題
荷役作業は、現場において労働災害が発生しやすい分野の一つです。厚生労働省の「令和5年労働災害発生状況の分析等」によると、陸上貨物運送事業の死傷者数で最も多くを占めるのが荷役作業中の「墜落・転落(25.9%)」であると示されています。次いで、「動作の反動、無理な動作(18.3%)」「動作の反動・無理な動作(17.9%)」の順に労働災害件数が多く発生しました。特に、物流業界では高齢化が進み、体力的な負担が事故のリスクを高めています。
詳しく見ていくと、死亡災害では「墜落・転落」や「はさまれ・巻き込まれ」が上位を占めています。死傷災害(休業4日以上)においても同様の傾向ですが、「動作の反動・無理な動作」、いわゆる「ギックリ腰」なども多く発生しています。
荷役作業における労働災害事例
安全な職場環境を構築し労働災害を未然に防ぐためには、過去に実際に起こった事故を参考にすることが効果的です。以下では、過去に実際に起こった労働災害の事例をご紹介します。
| 災害パターン | 割合 | 主な特徴と事例 |
| 墜落・転落 | 21.10% | トラック荷台からの落下が最多。 多くで保護帽未着用が死亡要因。 |
| 荷崩れ | 19.30% | 積みおろし時に荷物が崩れ、適切な固定がされていない場合が多い。 |
| フォークリフト使用時 | 17.50% | 不適切運転や荷崩れ、接触事故が多発。 |
| 無人暴走 | 15.80% | 適切な逸走防止策(パーキングブレーキ等)が取られていない。 |
| トラック後退時 | 5.30% | 後方確認不足、誘導者未配置、音量調整による警告不足が原因。 |
このような労働災害を減らすべく、法改正など国を挙げて安全対策の強化を図っています。
労働安全衛生規則の一部法改正
トラックでの荷役作業における安全対策強化のため、労働安全衛生規則(安衛則)が一部改正されました。令和5年10月から一部の規定が施行され、令和6年2月からは特別教育の義務化が始まりました。
改正の内容は以下の通りです。
1. 昇降設備の設置および保護帽の着用義務の拡大
昇降設備の設置
・対象はこれまで最大積載量5トン以上の貨物自動車のみでしたが、新たに2トン以上5トン未満の貨物自動車も対象に。
・荷物の積み下ろし作業時、高さ1.5m以上の箇所では昇降設備(踏み台や貨物車に設置されたステップなど)設置が義務付けられる。
・安全に昇降するため、ステップには乗降グリップを設置し、三点支持での利用が推奨される。
・テールゲートリフターをステップとして利用する場合は、昇降時に中間位置で停止させるなどの安全措置が求められる。

保護帽の着用義務
・最大積載量5トン以上から、2トン以上5トン未満で荷台の側面が開放または開閉可能な車両や、テールゲートリフター装着車も対象に拡大。
・作業時の高さが2m以上の場所では墜落防止措置と同時に、型式検定合格の墜落用保護帽の着用が義務。
・単なる荷役作業以外の作業でも、墜落・転落の危険があれば保護帽着用は推奨される。

2. テールゲートリフター操作に関する特別教育の義務化
・令和6年2月から、テールゲートリフターを操作する労働者には特別教育が義務化される。
・学科教育(合計4時間:1.5時間テールゲートリフターの知識、2時間作業関連知識、0.5時間関係法令)と実技教育(2時間)を含む。
・教育修了の記録は事業者が作成し、3年間保存が義務付けられている。
・一定の経験がある者や他の教育を受けた者は一部教育の省略が可能。
3. 運転位置から離れてのテールゲートリフター操作に関する措置変更
・ただし、逸走防止などのその他の安全措置は引き続き必要。
・運転席から離れて操作する際のエンジン停止義務が撤廃された。
まとめ
今回の法改正は、荷役作業の安全性向上を目的に、昇降設備や保護帽装着の対象範囲の拡大と、テールゲートリフター操作のための教育義務化を主軸としています。これにより事故防止が期待され、労働者の安全確保につながるとされています。まだ対策をされていない場合は、お早めの対応をご検討ください。
弊社では、トラックのあおりに設置可能なトラック昇降ステップや、保護帽など、各種商品を取り揃えております。お客様の利用シーンに合った安全対策を提案させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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