2026.01.08
高齢者の労災防止対策が努力義務化へ
2026年4月1日に、労働安全衛生法の一部改正(令和7年法律第33号)が施行されます。これにより、すべての事業者に対し、60歳以上の高年齢労働者の労働災害防止措置が努力義務として課せられます。これは、高齢者の雇用が増える一方で、転倒や腰痛などの労災が増加傾向にあるため、事業者に安全配慮を促すもので、具体的な内容は「エイジフレンドリーガイドライン」を参考に、リスクアセスメント実施や作業環境の改善、健康管理などが求められます。本コラムでは、法改正の内容と取り組むべき対策内容について、詳しくご紹介します。
改正の趣旨
今回の労働安全衛生法の一部改正は、多様な人材が安全に、かつ安心して働き続けられる職場環境の整備を推進することを目的としています。そのための方策として、①個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、②職場のメンタルヘルス対策の推進、③化学物質による健康障害防止対策等の推進、④機械等による労働災害の防止の促進等、⑤高年齢労働者の労働災害防止の推進等の措置を講じられます。この⑤の改正により、高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置の実施が事業者の努力義務となります。
背景と概要
高齢者の労働災害防止の推進に至った背景として、高齢化と近年の労働災害発生状況が挙げられます。まず、休業4日以上の死傷者数は近年増加傾向にあり、この要因として、高年齢労働者の労働災害の増加が挙げられています。

統計によると、2024年に労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の割合が、初めて3割に達しており、20年前と比べると2倍となっています。また、高年齢労働者は、他の世代と比べて労働災害の発生率が高く、災害が起きた際の休業期間が長くなる傾向にあります。

上のグラフによると、30歳代と比較した労災発生率は、60歳以上の男性は約2倍、女性は約5倍になっています。それに加え、休業見込み期間も年齢が上がるにつれ長期化しています。
上記のことから、企業は高齢者の身体機能低下や健康状態を考慮するとともに、作業内容・環境の見直し、健康管理、教育訓練などを実施して、安全で安心して働ける職場づくりを推進することが求められます。
改正内容
●高年齢労働者の労働災害の防止を図るため、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、作業管理その他の必要な措置を講ずることを事業者の努力義務とする。
●厚生労働大臣は、事業者による措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針(※)を定め、当該指針に従い、事業者又はその団体に対して必要な指導、援助等を行うことができるものとする。
※「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)において、安全衛生管理体制の確立(リスクアセスメントの実施等)、職場環境の改善(ハード・ソフト面の対策)、高年齢労働者の体力の状況把握などの取組を求めており、これを参考に指針を検討。
事業者が行うべきこと
1.安全衛生管理体制の確立
●経営トップによる方針表明と体制整備
●高年齢労働者の労働災害防止のためのリスクアセスメント(危険源特定)の実施
2.職場環境の改善
●ハード面:身体機能の低下を補う設備・装置の導入
段差解消、手すり設置、滑りにくい床材、明るい照明(LED)、パワーアシストスーツや昇降装置などの補助具導入
●ソフト面:高年齢労働者の特性を考慮した作業管理
作業時間・休憩の見直し、複数人作業、作業負荷の軽減

3.高年齢労働者の健康や体力の状況把握
●健康状況の把握(定期健康診断の確実な実施)
●体力の状況の把握(フィジカルチェックの継続的な実施)
4.高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
●個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた対応
●心身両面にわたる健康保持増進措置
5.安全衛生教育
●高年齢労働者、管理監督者等に対する教育

上記のさらに詳細な内容は、厚生労働省が公表しているエイジフレンドリーガイドラインよりご覧いただけます。
エイジフレンドリーガイドラインでは、職場環境の改善だけでなく、高年齢労働者の健康や体力を把握した上で、それぞれの状況に合わせた対応を行うことが求められています。
まとめ
今回の法改正により、企業は高齢労働者の安全確保に向けた具体的な取り組みを一層強化していく必要があります。すべての人が安全で安心して働ける環境作りを目指して労働環境の改善に積極的に取り組むことは、労災防止のみならず、企業全体の生産性向上や定着率向上にもつながっていきます。これを機に、現場の作業環境や工程、作業ルール等の見直しをされることをお勧めいたします。
厚生労働省は、2023年4月に始めた第14次労働災害防止計画の中で高年齢労働者の労働災害防止対策の推進を重点項目としていますが、エイジフレンドリーガイドラインに沿った対策を講じる事業場を2027年までに50パーセント以上とする目標を掲げています。これにより、60歳以上の死傷年千人率の増加に歯止めをかけることを狙っています。この取り組みを推進する補助事業として、エイジフレンドリー補助金などが用意されています。現在募集は終了していますが、また情報がありましたら随時お知らせしてまいります。
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