
低濃度PCBに汚染された廃棄物は令和9年3月31日までに保管事業者で適正に処理されなければなりません。処分期限までの適正処理を加速化させるため、国(環境省)は中小企業(個人事業主を含む)に対する助成金を創設しました。
中小企業(個人事業主を含む)の低濃度PCB廃棄物の適正処理を支援するため、低濃度PCB廃棄物処理支援事業助成金が令和7年4月1日より始まりました!低濃度PCB廃棄物の分析費・処理費に対し、補助率 1/2の額が助成されます。
低濃度PCBとは?
PCB廃棄物は、PCB濃度により高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に区分されています。高濃度PCB廃棄物はPCB濃度が0.5%(=5,000mg/kg(=ppm))を超えるもの、低濃度PCB廃棄物は0.00005%(=0.5mg/kg)を超え0.5%以下のものです。ただし、塗膜くずや感圧複写紙のように可燃性のPCB汚染物については、10% (=100,000mg/kg)を境に高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類されています。
無害化処理に係る特例の対象となる産業廃棄物のうち、低濃度PCB廃棄物は全部で3種類あります。一つ目に低濃度PCB廃油、二つ目に低濃度PCB汚染物、三つ目に低濃度PCB処理物があります。
そのうち存在量が多いものとして、PCBを使用していないはずの電気機器であるにもかかわらず、実際には数mg/㎏から数10mg/㎏程度のPCBに汚染された絶縁油が使用されたもの(微量PCB汚染廃電気機器等)があります。このPCB汚染の原因は、平成2年(1990年)まで行われた再生絶縁油の製造・流通・使用の過程で意図せずに汚染されたと推定されています。

助成金のメリット
低濃度PCB廃棄物の適切な処理は、環境保護や公共の健康、リスクマネジメントの観点からも非常に重要ですが、そのためには専門的な分析や処理が必要です。特に小規模事業者にとっては、コストや知識の壁が大きな課題です。
そのため、低濃度PCB廃棄物の処理において、国や各自治体が設けた費用補助制度は非常に有用です。これにより、所有者は経済的な負担を軽減しながら、環境保護にも貢献することが可能です。令和9年3月31日までという処分期限までに適正に処理するためにも、本助成金を活用して速やかに行うことを推奨いたします。
助成金の概要

助成対象経費について
分析費について
分析費とは、低濃度PCBに汚染されている恐れのある電気機器(高濃度PCB及び安定器を除く)に使用されている絶縁油が低濃度PCBであるかどうかを把握するために行う試料採取及び分析※に要する経費。
※告示で示された検定方法や環境省が監修するマニュアル・ガイドラインに基づくものに限る
処理費について
・収集・運搬(積込み・積下しを含む)に要する経費
・漏えい防止措置に要する経費
・処分に要する経費

まとめ
リスクマネジメントの観点からも、PCB廃棄物は早期処理が重要です。長期保管することは健康被害リスクが高まり、企業の社会的責任も問われるためです。また、期限内に処理されなかった場合、処理代などの経済的負担が大きくなる恐れがあります。古い建物や倉庫にある電気設備(変圧器、コンデンサー等)の製造年月日が1972年より前になっていないか、今一度ご確認ください。
低濃度PCB廃棄物にあたるかどうか判別に迷われた場合は、お気軽にご相談ください。
<参考>
環境省 低濃度PCB廃棄物早期処理情報サイト http://pcb-soukishori.env.go.jp/teinoudo/

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