2025年11月1日、建築基準法施行令が一部改正されました。それに伴い、労働安全衛生法で規制される事業場に設置される簡易リフトは、建築基準法におけるエレベーターや小荷物専用昇降機としての規制対象から外れました。ここに至った背景や法改正について詳しく解説していきます。
これまでの課題
簡易リフトは、他階への荷物の搬送を目的とした荷物昇降搬送機です。1階から2階、もしくはそれ以上の階層へ荷物を運搬します。これにより作業効率の向上や作業負担の軽減、階段設置などが不要となり省スペースになるといった効果があります。労働安全衛生法に基づき、積載荷重が0.25トン以上の条件を持つものが簡易リフトと定義されています。しかし、簡易リフトはこれまで建築基準法の中では認められていなかったため、建築基準法に基づく確認申請等や定期報告が義務付けられ、新築現場での設置は基本的にできないといった制限がありました。
簡易リフトに関する法律
これまで簡易リフトに関する規制は、「労働安全衛生法」と「建築基準法」という2つの法律にまたがっており、その解釈と運用が複雑でした。
- 労働安全衛生法:
- 積載荷重250kg以上の簡易リフトは「特定機械等」に指定され、設置届の提出や定期的な自主検査(年1回)が義務付けられています。
- カゴの床面積が1平方メートル以下または天井の高さが1.2メートル以下で、荷物専用(人は絶対に乗れない)のものを「簡易リフト」と定義しています。
- 建築基準法:
- 長らく、労働安全衛生法上の簡易リフトであっても、構造によっては建築基準法上の「エレベーター」または「小荷物専用昇降機」の規制対象となる場合があり、建築確認申請や完了検査、定期検査報告が必要でした。
- 多くの設置現場でこれらの手続きが適切に行われず、建築基準法に適合しない「違法エレベーター」状態のものが存在するという問題がありました。
建築基準法施行令の一部を改正
建築基準法施行令とは、建築基準法にもとづいて定められた基準をさらに細かく規定したものです。2025年11月1日の改正の背景には、地球温暖化対策が大きく関わっています。日本は、2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すという大きな目標を掲げています。この目標達成に向けた重要な施策の一つが、温室効果ガスの吸収効果や貯蔵効果を持つ木材の建築物への利用促進です。木材の利用を広げるためには、建築基準法に基づく既存の規制を、技術的知見の蓄積に応じて順次見直す必要があります。そこで、政府は内装制限、排煙口の設置、防煙壁の設置義務など、防火関係規制を中心に見直しを行い、閣議決定されました。
▼建築物に係る防火関係規制の見直しについて(国土交通省HP)
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001079.html
簡易リフトが合法に
今回の改正で、労働安全衛生法が適用される事業場に設置される簡易リフトは、建築基準法の対象から除外されることが決定しました。
(8) 建築基準法の規制対象とするエレベーター、小荷物専用昇降機の範囲の見直し
労働安全衛生法で規制を受けている事業場に設置される簡易リフトについて、建築基準法におけるエレベーター、小荷物専用昇降機に係る規制の対象外とします。
つまり、労働安全衛生法で規制を受けている事業場に設置される簡易リフトについて、建築基準法におけるエレベーター、小荷物専用昇降機に係る規制の対象外となることから、建築基準法に基づく確認申請等や定期報告が不要となります。ただし、引き続き労働安全衛生法令に基づく規制や自主検査の義務は適用されます。
おすすめの簡易リフト
簡易リフトのトップメーカー:鈴木製機は、かつて業界をリードする製品開発力と品質で多くのお客様に支持されてきました。しかし、法的な不透明性を考慮して方針転換を行い、垂直搬送機を主力製品としてきました。この度、2025年11月1日の法改正により、簡易リフトが合法化されましたので、自信を持って提供できる環境が整いました。
鈴木製機の簡易リフト【ポーリフトZERO】は、クレーン等安全規則を準拠した製品であり、かご寸法に制限がありますが、省スペースかつ短工期での設置が可能です。



▼簡易リフト ラインナップはこちらから
https://www.szk-s.co.jp/product/polelift-zero
まとめ
これまで簡易リフトは、建築基準法の中では認められず、違法とされていたため新築現場での設置は基本的にできないなどの制限がありました。今回の改正では、簡易リフトに関する規定が見直され、使用基準や設置条件がより明確化されました。これにより、簡易リフトの安全性が一層高まることが期待されます。この改正内容を理解することで、業務上のリスクや手続きの遅れを防ぎ、より安全でスムーズなプロジェクト進行が可能となります。今後も当社では法改正を逐一把握し、安心安全の建築業務に活かしてまいります。
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