2026.09.25
10月1日~7日「全国労働衛生週間」
10月1日~7日に、「第77回 全国労働衛生週間」が実施されます。
何を目的として、どのようなことに取り組むのかを本コラムで解説してまいります。
目次
全国労働衛生週間とは?
全国労働衛生週間は、働く人の健康の確保・増進を図り、快適に働くことができる職場づくりに取り組む週間です。昭和25年に第1回が実施されて以来、厚生労働省と中央労働災害防止協会(中災防)の主唱により毎年10月1日~7日に継続して実施され、今年で第77回を迎えます。
この取組が始まった歴史背景として、深刻な職業病の発生があります。昭和20年代の日本は、戦後の復興に向けて工場や鉱山などがフル稼働していました。その一方で、劣悪な作業環境による粉じん被害(じん肺)や、有害物質による深刻な健康被害・職業病が多発し社会問題となりました。すでに昭和3年から事故防止を目的とした「全国安全週間」が実施されていましたが、病気や体調悪化を防ぐ(衛生)ための国を挙げた啓発期間が新たに必要であるとして、「全国労働衛生週間」が誕生しました。これにより、経営者から労働者まで、働く上での「健康管理」の大切さを再認識してもらい、自主的に職場環境の測定・改善や、不調の未然防止などに取り組むことを促しています。
今年度の重点的な取組
労働者の健康をめぐる状況は、高齢化の進行等の就業構造の変化により、一般健康診断で異常が見つかった人の割合が上昇を続けており、何らかの疾病を抱えながら働いている労働者が増加しています。また、女性の就業率の上昇とともに、働く女性の健康問題への対応も課題となっています。加えて、過労死等の労災支給決定件数は年々増加傾向にあり、精神障害による労災支給決定件数が過去最多になるなど、過重労働による健康障害の防止対策、小規模事業場を含めたメンタルヘルス対策の推進が必要となっています。業務上疾病は引き続き高い発生件数で推移しており、気候変動、高齢化等を背景に熱中症や腰痛等の発生が増加している傾向にあります。また、政府において、「攻めの予防医療」の推進のため、職域においても、労働者の健康の保持増進措置(安衛法第69条)の枠組を活用し、疾病の早期発見・早期治療の取組を進めるための検討も行われています。さらに、令和6年度から全面施行されている化学物質の自律的管理の定着・推進に向けた取組を引き続き進めていく必要があります。
以上のような状況を踏まえ、あらゆる労働者が心身ともに健康に働き続けることができるよう、今年度は、「ひとりひとりが貴重な人材 心も体も健やかに みんな生き生き健康職場」をスローガンとして全国労働衛生週間を展開し、事業場における労働衛生意識の高揚を図ります。これにより、的確な労働衛生管理はもちろんのこと、女性の健康への対応、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくり等の総合的な推進を図ります。
実施要綱
令和8年度スローガン
「ひとりひとりが貴重な人材 心も体も健やかに みんな生き生き健康職場」
実施期間
本週間:2026年10月1日~7日 (準備期間:2026年9月1日~30日)
準備期間に実施すること
- 労働者の健康の保持増進を図るための取組
- ⼥性の健康課題への取組
- 治療と就業の両⽴⽀援対策
- 職場におけるメンタルヘルス対策
- 過重労働による健康障害防止対策
- 職場の熱中症予防対策の推進
- 小規模事業場における産業保健活動の充実
- 個人事業者等の安全衛⽣の確保に関する取組
- 化学物質による労働災害に関する取組
- 労働衛⽣3管理の推進等
- 作業内容や働き方に応じた取組
- 作業環境の特性に応じた取組
全国労働衛生週間に実施すること
- 事業者または総括安全衛⽣管理者による職場巡視
- 労働衛⽣旗の掲揚およびスローガンなどの掲示
- 労働衛⽣に関する優良職場、功績者などの表彰
- 有害物の漏えい事故、酸素⽋乏症などによる事故など緊急時の災害を想定した実地訓練などの実施
- 労働衛⽣に関する講習会・⾒学会などの開催、作⽂・写真・標語などの掲示
- その他労働衛⽣の意識⾼揚のための⾏事などの実施
取り組み事例の紹介
✅簡単に取り組める事例としては、以下のようなものがあります。
厚生労働省が推進する「3管理」に基づいた取り組み事例
- 作業環境管理(現場の「設備・環境」を改善する)
- 化学物質の自律的管理の徹底:溶剤や粉じんを扱う場所で、局所排気装置が正しく稼働しているか、フィルターが目詰まりしていないかを点検する。
- 暑熱・寒冷対策の点検:スポットクーラーや大型ファンの配置を見直し、作業位置の温度が適切に保たれているか測定・確認する。
- 騒音・振動の低減:異音を発する機械のメンテナンスを行い、耳栓などの保護具が適切に常備されているか確認する。

2. 作業管理(現場の「動き・ルール」を改善する)
- 腰痛予防(エルゴノミクス)の推進:
- 重い部材を運ぶ際、床から直接持ち上げずに昇降式の台車(リフター)を挟むルールを徹底する。
- 立ちっぱなしの工程には、疲労軽減マットの敷設や、座って作業できる椅子(スタンディングチェア)を試験導入する。
- 保護具の正しい着用チェック:防じんマスク、防毒マスク、保護メガネ、耳栓が正しく装着されているかを指導する。


3. 健康管理(現場の「人」の心身をケアする)
- 特殊健康診断の受診漏れ防止:有機溶剤、特定化学物質、鉛、騒音、特定粉じんなどの業務に従事する作業員に対し、特殊健康診断が確実に実施されているか名簿を突合する。
- 深夜業(交代制勤務)のフォロー:夜勤を含む交代制メンバーに対し、自律神経の乱れや睡眠不足がないか、産業医や衛生管理者による面談・アンケートを行う。

関連サイト
- 仕事と生活の調和(厚生労働省)
- ストレスチェック制度関係法令等(厚生労働省)
- STOP!過労死(厚生労働省)
- 働く人のメンタルヘルス·ポータルサイト「こころの耳」
- 治療と仕事の両立支援ナビ(厚生労働省)
- 女性の健康づくり(厚生労働省)
- 転倒災害防止のためのチェックツール
- 職場における腰痛予防対策(厚生労働省)
- 職場の化学物質管理総合サイト「ケミサポ」
- 職場における化学物質対策について(厚生労働省)
- 職場における受動喫煙防止対策について(厚生労働省)
- 産業保健フォーラム IN TOKYO 2026
まとめ
全国労働衛生週間は、労働者の健康管理や職場環境の改善など、労働衛生に関する国民の意識を高め、職場での自主的な活動を促して労働者の健康を確保する貴重な機会です。
この期間に自主的な労働衛生管理活動の大切さを見直し、積極的に健康づくりに取り組んでみましょう。
▼詳細につきましては、厚生労働省【都道府県労働局・労働基準監督署】が発行している
リーフレットは以下よりご参照ください。
▼第77回全国労働衛生週間 リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001729974.pdf
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