
夏が近づくにつれて湿度が高くなる日本の気候。6月に入り、もうじきジメジメと湿度の高い季節がやってきます。下記のグラフは東京の年間平均湿度ですが、梅雨時期の6月~7月は雨が長く続くため特に湿度が高く、夏場の8月、9月まで高温多湿な気候が続くことがわかります。

湿度が高くなると、暑さやだるさなどの身体的負担を感じたり、建物に結露やカビ、ダニを発生させて健康被害を起こす原因にもなります。今回は工場や倉庫に結露・湿気がなぜ起こりやすく、なぜ対策が必要なのかについて詳しくご紹介します。本格的に梅雨や夏が来る前に早めの準備を行うことをお勧めいたします。
目次
なぜ工場や倉庫に結露が発生しやすいのか?
結露が発生する条件には「湿度が高いこと」「室内と屋外の気温差が大きいこと」が挙げられ、これらの条件が揃えば季節を問わずいつでも結露は発生します。そして工場や倉庫などの施設は、湿気が溜まりやすく結露が発生しやすい特徴を持っています。一般の建築物と比較すれば、工場や倉庫には以下のような特徴があります。
・間仕切りが少なく空間が広い
工場や倉庫は一区画の面積が広いため、空調設備の効きが悪くなる
・天井が高い
建物内の天井が高いという点も、空調効率が悪くなる
・換気不足になりやすい
窓が少ない、保管物品の関係で換気が難しいなど、換気効率が悪い施設が多い
このように、工場や倉庫というものは、大規模な施設である上に構造上空気の循環が難しく、湿気が溜まりやすいという特徴があります。したがって、保管物品の品質維持や従業員が安全で健康に働けるような環境を作るためには、適切な湿気対策が必要になります。
結露・湿気対策が必要な理由
工場や倉庫などの施設において、湿度対策が重要と言われる理由についてご紹介します。工場や倉庫は、熱中症などの健康被害から従業員を守るという視点からも湿度対策が大切です。さらに、湿度が高い状態では、少しの温度変化で水蒸気が水滴に変わり、壁や床など様々な場所で結露が発生します。湿気や結露は保管物品などの品質に悪影響を与えてしまう恐れがあるため、適切な湿度管理が重要です。詳しくは、下記のようなリスクがあります。
リスク① カビの発生の原因となる
高湿度な環境では、工場・倉庫内にカビが発生しやすくなります。カビは保管中の物品や設備に損害を与えるだけでなく、悪臭を発生させ、倉庫内の環境を大きく悪化させる要因となります。
リスク② ダニや害虫の発生の原因となる
工場・倉庫内の湿度が上がると、ダニ・ゴキブリなどの害虫が発生しやすくなります。ダニやゴキブリなどの害虫は高温多湿な環境を好むので、一度発生すると卵を産んで増殖するリスクがあります。それを防ぐため、湿度・結露の対策をしっかりしましょう。
リスク③ 建物の劣化
結露の水を放置すると、建物が劣化しやすくなります。劣化が生じると、雨漏りにまで進行する可能性があります。修繕コストを抑えるために早期の対策が重要といえるでしょう。
リスク④ サビや腐食の発生
湿度の高い環境ではサビが発生しやすくなります。さらに結露することで建物自体が腐食する恐れもあります。また、機械設備部品などに結露が発生することでサビが生じ、そこから腐食が進行します。設備部品が腐食した場合、修理や交換の頻度が増えてコストがかさむことになるため、早めに結露・湿気対策に取り組む必要があります。
リスク⑤ 従業員の健康被害
高湿度環境は建物や保管されている物品だけでなく、人にも悪影響を及ぼします。カビは肺炎の要因となり得るほか、アレルギーを誘発する可能性があります。ダニも同様のリスクを伴います。また、湿度の高い不快な環境は、作業効率を大幅に下げる原因となります。
◎おすすめの結露・湿気対策
工場の結露対策・湿気対策におすすめの方法は、換気設備や除湿機、シーリングファン、遮熱シート、断熱塗料の導入などが挙げられます。
【換気設備】
窓を開けて定期的に換気する他に、換気設備を見直しすることで換気効率を上げる方法があります。鎌倉製作所のジオ・アクアは、地下水を利用する熱交換式の涼風給気装置で、除湿した大量の涼風を低コストで届けられます。電力消費はファンとポンプのみなので省電力・低コストです。工場の湿気対策のみならず、暑熱対策と省エネ対策、負圧解消・陽圧化対策を同時に実現します。

【除湿機】
業務用の除湿機は非常に効果の高い対策です。オリオン機械の業務用除湿乾燥機は、コンクリート、金属材料や樹脂材料などの保管・貯蔵用途、化粧品原料の生産工程や食品工場内の除湿、工場天井裏の湿気問題の解決など、食品業からサービス業までさまさまな産業で活躍しています。オリオン機械の天吊型除湿機「RFB500G-T」は、天井裏などに設置でき、結露の発生を防止し、カビや異臭などを未然に防ぎます。また、除湿機を設置する場所を密閉することでさらに効果を上げることができます。

【シーリングファン】
シーリングファンとは、天井に取り付ける大型の扇風機のことです。大きな羽根が天井でゆっくりと回転することで、室内の空気が循環し、湿気対策に役立ちます。NBCエンジニアのHVLSファン「ユーラスⅢ」は、電気代も安価で省エネで、夏場は体感温度を5~8℃下げるメリットもあります。

【遮熱シート】
遮熱シートを天井や壁に施工し、室内・室外の温度差がない状態にすることで、結露を防止することができます。遮熱シートが直接室内の空気と触れてしまうと結露が起きてしまうため、室内の空気と触れないように注意して施工する必要があります。
【断熱塗料】
遮熱シートと同様に、屋内外の温度差を軽減するため結露対策に有効です。結露は外気により冷えた壁面と屋内の温度差で発生しますが、断熱塗料を使えば壁の表面温度が下がるのを防げるため、結露を抑制します。また、断熱塗料を内外装へ使用すれば、目に見えない場所に生じる内部結露も防止できるため、人体や建物への被害を抑えたいときに有効です。
【結露防止シート】
窓に貼ることで断熱性を高め、結露を防止するシートです。結露は室内と室外の温度差で発生するため、結露防止シートにより室内と室外の温度差を軽減させ、結露の発生を抑えることが可能となります。ただし、工場や倉庫のような広範囲な場所だと、結露防止シートだけでは湿気を防ぎきれないこともあります。
事業所における適切な湿度の目安
労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」では、「(空調設備のある場所では)室内の気温が17℃以上28℃以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない」と規定されています。これを目安にして、工場内の湿度は50%以下、そして室温は18℃~26℃程度に維持することが推奨されています。必要な湿気対策を行い適切な湿度を維持することで、品質維持や作業員の健康管理、ひいては人材流出の防止や生産性向上などに繋がります。
当社ではこれまで湿気対策や暑熱対策に関する多数の商品販売・工事実績があります。どのような対策がいいか迷われている場合も、ヒアリングや現地調査を行い、お客様の工場や作業場に最適な設備・対策を提案させていただきます。ぜひお気軽にご相談ください♪
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